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クリスチャン・ボルタンスキー展 [アート]

国立新美術館でクリスチャン・ボルタンスキーの大回顧展が始まりました。

自己や他者の記憶にまつわる作品、光を用いたインスタレーションや、

人間の存在の痕跡などをテーマに世界中で作品を発表している、現代を

代表するアーティストです(←フライヤーより抜粋しました)。

0612ボルタンスキー屋外看板.jpg

2016年に東京都庭園美術館で鑑賞して衝撃を受け、去年の妻有トリエン
ナーレで見逃した作品もあったので、今回の展示を楽しみにしていました。
0612ボルタンスキーフライヤー.jpg
0612ボルタンスキー幽霊の廊下1.jpg0612ボルタンスキー幽霊の廊下.jpg

壁面に広げた白布に、ちょっとユーモラスな幽霊の影絵が揺らめく『幽霊の廊下』。

通り抜けた先には『ぼた山』や、コートを来た人型が言葉を発する『発言する』と

いう作品が見えてきます。

0612ボルタンスキースピリットぼた山発言する.jpg0612ボルタンスキー発言する.jpg

積み上げられた黒服が一体化して見分けがつかなくなり、個人の記憶の消失を

表わしている『ぼた山』。天井には顔写真が印刷された無数の薄布がオーロラの

様に層を成す『スピリット』。隣の映像作品『アニミタス(白)』では雪原の中

で風鈴が鳴る。それらが相乗効果を上げつつ、独特な世界を作り上げていました。

0612ボルタンスキーアニミタス(白).jpg

鯨との交信を試みる海辺の映像を3面のスクリーンで見せる『ミステリオス』↓。

0612ミステリオス2.jpg0612ボルタンスキーミステリオス.jpg

積み上げたビスケット缶と豆電球が祭壇の様な神聖な空間を作り、裸電球が

心臓の鼓動を表わしたり実体のない者の影を大写しにする等「廃品やチープな

素材」が子供の頃の記憶と密接に結び付き、無名の人々の歴史や命の終わりを

追体験し弔う様な「霊的な装置」になるのがボルタンスキーの面白い所です。

最初の展示が血反吐を吐き続ける「咳をする男」という映像なのにはギョッと

しますが、ご本人による解説が付いたカラー写真入りのマップを見ながら鑑賞

するスタイルは、とっつきにくさを解消してくれると思います。が、老眼には

文字の小ささや暗さが厳しく、ちゃんと見たのは会場の外に出てからでした[もうやだ~(悲しい顔)]

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saia

今日本では「クリスチャン・ボルタンスキー展」をやっているのですね!
今住んでいる所でも昨年展覧会をやっていたのですが、残念ながら日本にいる時期だったので見られませんでした。
さすがうりくまさん、クリスチャン・ボルタンスキーがお気に入りとは♪♪
そうそう、以前うりくまさんが記事に書かれていた「クリムト展」、娘がお友達と行ってきたそうです!
なぜかありがたいことに特別期間中で学生は無料だったとか。
「良かった~癒された~」と感激していました。笑

by saia (2019-06-17 03:12) 

うりくま

日独を行ったり来たりされているのですね~。
私は東京と埼玉を行ったり来たりですが(笑)。
ボルタンスキーは収容所を連想させる作品も
あり、古着と紙屑を見るのにお金を払うの?
と言われたり、日本での知名度、評価はいま
ひとつでしょうか。前回も今回も、とても
空いていてゆっくり鑑賞できました。
娘さん、鉱物もお好きでしたし、良い感性を
お持ちです!若い人に気軽に鑑賞してもらう
機会がもっと増えると良いですね(^0^)。
by うりくま (2019-06-18 23:41) 

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