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ゴッホと賢治 [本・映画・TV・音楽など]

ポスターを見て、去年から楽しみにしていた東京都美術館で開催中の
「ハマスホイとデンマーク絵画」展(3/26迄)。新型コロナウイルス
感染の危険因子が多めの自分は、残念ながら今回はネット美術館と本
でエア鑑賞?することにしました。(><)


で、2/23にEテレで見た日曜美術館「炎の画家ゴッホ 

草木への祈り」、年末鑑賞した映画「永遠の門 ゴッホの見た未来」

の感想と、年始の上野の森美術館の「ゴッホ展(1/13終了)」の

看板画像を今更ですがまとめてUPしました。(^_^)

0105ゴッホ展6.jpg
精神を病み、耳切事件などを起こした気性の激しい画家という印象が
強いゴッホですが、本質は厚い信仰心を持つ「求道者」だったのでは
ないでしょうか。ゴッホは父と同じ牧師の道を志すも、貧しい人々に
自らの衣服や私財も与え、自罰行為をする極端さが常軌を逸していると
して、伝道することを禁じられてしまいます。
0105ゴッホ展4.jpg
それでも「神の言葉を種まく人になりたい」「貧しく虐げられた人々を
救いたい」という思いは、聖書を絵筆に持ち替えてからも一貫していた
ようです。ゴッホは教会の「尖塔」や、後には大地に根を張り、うねる
ように天に向かって伸びる力強い「糸杉」を精神的支柱として好んで
描いたようです。
0105ゴッホ展5.jpg
映画「永遠の門 ゴッホの見た未来」は、ゴッホの不安定で混乱し
がちな心理状態、自然一体化する喜びが描かれ、ゴッホにとって
世界がどう見えていたかを追体験できるような作品でした。
そのため、覆いかぶさるように近づく他人の顔に威圧感や息苦しさを
覚えたり、精神疾患を抱える人に対する扱いに目を覆いたくなる場面
ありますが、悩み傷つきながらも感じ取ったものを表現し続けた
生涯(といってもゴッホの場合は最後の10年間ですが)は不幸では
なかったと、残された作品がその事を証明している様に思えました。
0105ゴッホ展3.jpg
宗教への傾倒、弱者や農民に寄り添う姿勢や自然への畏敬の念、
同じ道を目指すはずの同志が去ってしまうと錯乱状態に陥り、
生涯独身を通したこと、無名なまま創作を続け、良き理解者で
あった弟が作品を世に送り出すため多大な貢献をし、死後に
熱狂的なファンを獲得した・・というのはどこかで聞いたと
思ったら、宮沢賢治との共通点が多いのですね。(*゚ロ゚)
0105ゴッホ展2.jpg
ゴッホが生きたのは1853~1890年で、賢治は1896
~1933年。賢治がゴッホの「星月夜」を見て詠んだ短歌が
残っていますが、ゴッホと賢治は奇しくも37歳という年齢で
早世しています。
ルリユールおじさん (講談社の創作絵本)

ルリユールおじさん

 いせ ひでこ

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/04/12
  • メディア: 単行本
※「草木への祈り」では、ゴッホとは真逆のような、淡く繊細な絵を
描かれるいせひでこさん[グッド(上向き矢印)]が、ゴッホが描いた生命力溢れる根っこの
絵が一番好きと仰っていたのも印象的でした。
10105ゴッホ展.jpg
※追記:これをUPした後、上記の伊勢英子さんが「ふたりのゴッホ」
という著書でゴッホと賢治の共通点を指摘され、「にいさん」という
絵本でゴッホとテオの兄弟愛を描かれていることを知りました。
賢治の弟さんが書いた「兄のトランク」の次は、この2冊を読みます!
(こうしてまた本が増えていく・・^^;。)

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コメント 8

ニッキー

ゴッホは絵だけを見てるととても激しい感情の持ち主だと
思うだけですが、いろいろ背景や想いを知ると
同じ絵でも違った目で見ることができますね( ^ω^ )
by ニッキー (2020-02-26 20:45) 

うりくま

>ニッキー様
激しいのは間違いないようで、人間関係のトラブル
が絶えない一生だったようです。アルコールや薬物
の影響も指摘されますが、詳細はよく知りません。
伝道師としての活動が上手くいっていたら、ゴッホ
の絵は残らなかったかもしれないですね(^_^)。
by うりくま (2020-02-26 23:49) 

sana

ゴッホ関連のいろいろなことを経験なさったのですね。
私は最近いぜんは良く見た日曜美術館すら見ていないですが、昨年原田マハさんの本を読んだりして、以前に見た展覧会や特集本の記事などを思い返しておりました。
ゴッホの純粋さと情熱は常識を外れてしまったりするんですね。
感性の豊かさと、激しさ動揺しやすさは表裏一体だったのかと。
ゴッホが伝道師…狂信的な人になってしまったかもしれない?
いや感覚的な表現の才能のほうが行き場を求めていたことでしょう。
人の心を揺さぶる作品には、奥深い背景があるのですねえ。

宮沢賢治との意外な共通点、興味深いですね。
父親の視点から主に描いた「銀河鉄道の父」面白かったです。
質屋という家業を賢治は嫌う一方、偉大な父を乗り越えられないと悩んでもいたらしく。じつは父は健治を溺愛しているといってもいいほどで、素直に援助を頼んだ方がよかったんじゃ…
でも葛藤があるからこそ、作品が生まれたということもあるんでしょうね。
by sana (2020-02-27 00:30) 

うりくま

>sana様
上記のハマスホイのような薄暗くて淡い絵が好きで
ゴッホのような強烈な絵は見ている自分も精神が
不安定になりそうなのですが、たまたま続いた
結果、好きになってきました。(^^;)
展覧会では印象派より前のハーグ派の影響を知る
ことができたのが収穫でした。ゴッホの伝道師で
は、ついていけない信者が逃げてしまいそう?
「表現の才能が行き場を求める」というのは確かに
そうかもしれませんね♫。

「銀河鉄道の父」、私も読みました!父から見た
賢治という視点が新しく、以前取り上げた「宮沢
賢治の真実」、弟・静六さんの「兄のトランク」と
共に賢治ファンの必読書かも。父も賢治も妹のとし
も、優秀で感性豊かで、情が深すぎる傾向がある
ようですね。裕福な家庭に育ったことや家業の質屋
の仕事を恥じながら、贅沢な芸術も愛好していた
賢治、元手がかかる画業を借金しながらもやめ
なかったゴッホ。いろいろと考えさせられますが、
結局は残した作品の良し悪しが全て、なのかな。
原田マハさんの本は3冊だけ読んだけど、元キュ
レーターだけあって読んでいて楽しいですネ。
ゴッホについての著作はまだ読んでいないので、
こちらも近々読みたいです。
by うりくま (2020-02-27 09:23) 

リュカ

はやくコロナ騒動がおちついて
ゆったり芸術鑑賞できるようになってほしいです!!!
by リュカ (2020-03-02 11:12) 

うりくま

>リュカ様
本当に、早くおさまってほしいですね。
私は喘息の持病があるのでしばらく自粛
しないといけません。ハマスホイ、次回は
10年後くらいかな~(><)。
by うりくま (2020-03-03 20:54) 

coco030705

こんばんは。ご無沙汰しています。色々取り込みごとがありまして、ブログはお休み状態が続いております。
兵庫県立美術館のゴッホ展も今はお休みで、3/16から再開ということですが、どうなりますことか……。
ゴッホの映画、リアルにゴッホの心情を感じられ、よかったですね。それに絵が売れなくても「今は、未来への種まきだ」というゴッホの言葉に、彼の人生は決して不幸ではなかったと思いました。
様々なことがコロナに翻弄されて、大変な時期ですが、何とか乗り切りましょう。
by coco030705 (2020-03-09 23:45) 

うりくま

>coco030705様
こんばんは。どうされたのかと気になって
いました。お元気そうで良かったです!
彼らがまいた種が時代を超え世界中で花開き、
実っている事をゴッホとテオに教えてあげたい
です(^^)。大阪でゴッホ展が開催中だった
のですね。見たい人、たくさんいたでしょうに。
「コロナにマケズ」乗り切りたいものですネ。
by うりくま (2020-03-10 21:11) 

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