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「横尾龍彦 瞑想の彼方」展 [アート]

横尾龍彦(1928-2015)は日本とドイツを往来して活躍した画家で、今回

「横尾龍彦  瞑想の彼方」展は日本初の回顧展となります。ゆかりの地で

ある北九州市立美術館、神奈川県立近代美術館、埼玉県立近代美術館が共同

で開催しており、埼玉が最終巡回場所となっています。(9/24まで)

幻想的でおどろおどろしいポスターに、横尾忠則と澁澤龍彦合わせたよう

素敵なお名前。これは見逃せません。(会期終了間際にやっと行けました。)

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  画像は上から  1970年頃 ≪七つの燈台≫/   1977年≪黙示録ゴグとマゴグ≫

       1967年≪不死鳥≫/   1980年代後半≪海≫(だったと思う)


『1960年代後半、神話や聖書を題材とした幻想画を描き、澁澤龍彦や種村季弘ら

著名人に認められました。1980年以降には、禅やルドルフ・シュタイナーの思想

に影響を受け、瞑想によって湧き上がるイメージを、絵具の激しい飛沫やダイナミ

ックな描線によって抽象的に表現するようになります。本展では、約90点の作品で

活動の全貌を紹介します。』( 横尾龍彦 瞑想の彼方 - 埼玉県立近代美術館HPより

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『私は混沌を混沌として、存在を存在としてあるがままに見る。驚異は

われわれの言葉や理性の必要性を失わせ、残るのは感嘆だけである。』

ー「tatuhiko Yokoo」展リーフレット掲載の自筆文章和訳よりー

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 1975年 愚者の旅(テーブルに愚者のタロットカード?)
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1981年 VisionⅡ ヒエロニムス・ボスの影響あり。実物は色が濃い↑)
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 展示会場の様子↑。混雑もなく、ほとんどが撮影可能です。

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        1983年 朝焼け ↑
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        1992年 円相          1987年 聖母子像(木彫)
幻視の禍々しさと美しさ、海の底にいる様な「青の時代」の作品から円相や聖像、
自然のエネルギーが感じられる抽象画までまとめて鑑賞できる貴重な機会を得、
充実感がありました。真理を追い求め、異文化を吸収しながら様々な垣根(宗教
、思想、国、技法等)を越えてきた横尾氏。何物にもとらわれず、心のままに
創作を続けられた厳しくも幸せなアーティスト、求道者だったのではないかと
思いました。(どちらかというと海外で高く評価されていたようです。)
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        2000年 火山
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        2003年 雨を降らす龍
創作パフォーマンスの記録映像も見ることができます。瞑想で精神を集中。
キャンバスに水を打って揺らし、横笛や神楽鈴の演奏をバックに踊るよう
に筆を走らせたり顔料を振りかけたりされていました。「偶発性、無作為
性を徹底」し、「自己無化を極めることで無意識世界の表出を目指され」
ていたとのこと。勢いよくうねる線や色彩は生き生きとして美しいです。
(「」内はパンフレットより抜粋しました)
             ※
鑑賞を終えて外に出ると、雨がザーッと音を立てて降っていました。

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間もなく日が差して天気雨に。何となく嬉しい。

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打ち水効果で、少しだけ過ごしやすくなりました。

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       おわり

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コメント 8

TaekoLovesParis

横尾忠則と澁澤龍彦を合わせたような名前、でも、横尾忠則らしさは見れないから、横尾は本名なんでしょうか、なんて想像しながら、絵を見せていただきました。木彫作品も作るとは多才ですね。
絵は、私には、「愚者の旅」がギュスターブ・モローふうで、VisionⅡが、マックス・エルンストふうに見えました。晩年の混沌とした作品は筆づかいが日本画科卒だったことを思い出させます。
横尾龍彦の作品の変化のように、ドラスティックに変化する天気の日でしたね。お疲れ様でした。
by TaekoLovesParis (2023-09-17 15:30) 

うりくま

> TaekoLovesParis 様
お名前は、第一印象で「ん?」と思ったというだけで、
深い意味はありません(スミマセン)。お父様は日本画家で、
お母様が霊感者、幻視や神秘体験は身近だったようです。
初期の幻想的な作品は銀座の青木画廊に出展されており、
ドイツ行きも種村季弘氏の強い勧めに因るのだそうです。

シュルレアリスムの影響は勿論、キリスト教に傾倒してい
ていた頃の作品は成程モローに通じるものがあるかも・・。
おでこの666を見て昔のオカルトブームも思い出しました。
青い作品群には何かの残骸みたいな謎の物体がよく描かれ、
それも生死や霊的な存在の暗示があるのかと思いました。
(画像が粗すぎ、よく見えなくて申し訳ないです。)
木彫りの聖像の柔和な表情やお地蔵さんのような素朴さ
には心が和みました。依頼されて多数制作されています。
通底する精神性はあるとはいえ、振れ幅の大きさ、技法
の多彩さには驚きました。俯瞰できて良かったです。
by うりくま (2023-09-18 00:57) 

coco030705

この方、お名前からしてすごいですね!幻想的な絵画や小説は大好きです。
by coco030705 (2023-09-24 00:14) 

lequiche

良い展覧会をご存知ですね。さすがです。
検索すると、確かに澁澤龍彦、横尾忠則が出て来てしまいます。
でも澁澤龍彦とは龍彦つながりで親交があったようです。
昔、牧神社から高橋康也の編纂による
『アリスの絵本』という本が出たことがあって、
これには横尾龍彦も澁澤龍彦も寄稿しています。
by lequiche (2023-09-24 02:28) 

nachic

最近亡くなった方なんですね。
全然知らなかった方ですが、面白そうな展覧会ですね。
禍々しいのとか霊的なものなんとなく好きです。
by nachic (2023-09-25 00:07) 

うりくま

>coco030705様
横尾龍彦氏の作品は、何かの挿絵で見た事があるかも?
毎日新聞の連載小説の挿絵も担当されていたようです。
機会がありましたらcoco様にも本物を見て頂きたいです!
それとcoco様のブログを読むまで、映画「君たちはどう生
きるか」が宮崎駿のオリジナルの脚本だと知らず、吉野源
三郎の著書の映画化だと勘違いしていました。。(><)

>lequiche 様
澁澤龍彦に高く評価されていたようですが、まさかの龍彦
繋がりもあったとは・・。幻想系の皆様は大体嗜好が似て
いて、アリス好きが多いですね。「アリスの絵本」お持ち
なのでしょうか。中古をチェックしてみようかしら。最初
「マキジンジャ」って、なぜ神社が出版元?と疑問に思っ
たのですが、ボクシンシャですねww(勘違い・その2)。

> nachic 様
そうなんです、日本(秩父)を拠点に活動されはじめた矢先
に亡くなられたそうで残念です。作品と向き合っていると
深層心理を刺激され、海の底に引き摺り込まれるような怖さ
と安らぎが感じられるというか・・。画像がクリアーでなく
申し訳ないですが、共感して頂けたら嬉しいです。抽象画も
素晴らしくて、すっかりファンになってしまいました。
by うりくま (2023-09-26 01:53) 

lequiche

『アリスの絵本』は初刷から3刷まで3種類あるようです。
ヤフオクにありました。
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/l578023933

でも外装は違いますが内容は同じはずですから
どれか1冊でよいと思います。
1冊だけなら500円くらいであるはずです。ご参考まで。

牧神社は倒産してしまったので、もう存在しませんが、
『牧神』という雑誌を出していました。
なかなか面白い雑誌でした。
全部ではありませんが、ある程度は揃えてあります。
創刊号の前にマイナス3号〜マイナス1号が出ていました。
これはパンフレットみたいな本です。
『アリスの絵本』も家のどこかにあるはずですが、
どこにあるのか不明です。(^^;)

牧神社=マキジンジャというのも各地にあるようですね。 (笑)
by lequiche (2023-09-27 03:02) 

うりくま

> lequiche 様
lequiche 様、本当にお詳しいですね!いつもいろいろ
教えて頂き、ありがとうございます。牧神社、面白そうな
本を出版されていたのに倒産されてしまって残念です。
アナログ人間ゆえオークションと○○Payはまだ使ったこと
がないのですが(><)県立図書館に蔵書があるようなの
で、周辺散策を兼ねていずれ行ってみようと思います。

余談ですが横尾龍彦展で展示されていた「メルヘンの部屋
11 誕生石(エッセイ:乙竹宏 画:横尾龍彦)」をネッ
ト古書店で見つけ、「メルヘンの部屋7 香りのおもいで
(脚韻詩:中井英夫 画:建石修志)」と共にポチってし
まいました。。(建石さんの絵も好きなので)状態が良い
割には安価で良い買い物だったと思います。
by うりくま (2023-09-29 08:31) 

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